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※1999年より。今はもう本文以外のレイアウトデザイン、コーディング、サイト管理をチビにやってもらっています。ありがとう。


オペアンプ音質比較 聴き比べ事始め
Prehistory of Test and Evaluation for OP-AMP
mail to tobias@jcom.home.ne.jp

CONTENTS

聴き比べ(2011年5月)

 最初に電解コンデンサの音質の比較をしてみようと思い、電解コンデンサをあれこれとっかえて試聴してみたのだが、どうしても先入観が邪魔をしてしまい、公平に評価することが難しく、行き詰ってしまった。

コンデンサ聴き比べ左の写真のようなものでテストしてみた。とりあえず11種類の同容量のコンデンサを試してみたのだが、うまくまとめる(まともな答えを出す)ことができず頓挫。ただ、言えることは、聞くに堪えないほどのひどいコンデンサは一つもなく、どれでもまともに聞こえた、どれを選んでも特に問題はないな、ということだった。それは当たり前な結論でしかないけど、なるべくベストなコンデンサはなんだろうかとウェブ上のさまざまな評価を漁っているうちにこの世の中には○か×かしかない、しかも○は一つだけで残りは全て×だ、みたいな頭になってしまっている自分がいたのも事実で、だからこの当たり前なとりあえずの結論は、僕には新鮮だったのだ。

 そこで、コンデンサ聞き比べは中断して、オペアンプの聴き比べをまずはやってみることにした。OPアンプなら8Pin DIP型の黒色の同一形状をしていて、外観では見分けがつかない。また、オペアンプの音質比較をしておられるどなたかのホームページで見たことがあったのだが、テストするオペアンプに番号が記された小さな紙片を貼って目隠しをしていて、これはシンプルでいいアイデアと思い、僕も同じ方法で実験することにした。

 用意したOPAMPは、とりあえず試験的に手持ちの品6点。


概 要: NJM741の入力部をPNPトランジスタに変え,低雑音化した演算増幅回路で,高利得で入力抵抗が高いデュアルタイプとして,また計測器用として最適です。NJM4559は,NJM4558の改良品で特に周波数特性がおおよそ2倍良くなっています。(バイポーラ、PNP入力型、入力バイアス電流25nA)


概 要: MUSES8820は、オーディオ用として特別の配慮を施し、音質向上を図った2回路入り高音質オペアンプです。低雑音、高利得帯域、低歪率を特徴とし、オーディオ用プリアンプ、アクティブフィルター、ラインアンプ等に最適です。(バイポーラ、入力バイアス電流100nA)


概 要: NJM4562は2回路入り低雑音プリアンプ用ICです。ステレオ・カセット・デッキ等のプリアンプとして最適です。ゲイン10以上では発振しないように内部補償回路が入っています。(バイポーラ、PNP入力型、入力バイアス電流100nA)


The LM4562 is part of the ultra-low distortion, low noise, high slew rate operational amplifier series optimized and fully specified for high performance, high fidelity applications.(入力バイアス電流10nA)


The OPA2604 is a dual, FET-input operational amplifier designed for enhanced AC performance. Very low distortion, low noise and wide bandwidth provide superior performance in high quality audio and other applications requiring excellent dynamic performance.(入力バイアス電流100pA。ピコは10の-12乗、ナノは10の-9乗)


OPA2134PAは、オーディオ・アプリケーション向けに完全に仕様が規定された超低歪、 低ノイズのオペアンプです。完全なFET入力段の採用により優れた音質および速度を実現し、 高いオーディオ性能を達成しています。また、出力ドライブ能力およびDC性能が優れているため、 厳しい条件が要求される広範なアプリケーションに使用することができます。 OPA2134は、出力スイングが広く(レールの1V以内)ヘッドルームを大きくとれるため、 オーディオ回路での使用に最適です。  OPA2134PAは、使いやすく、 通常のFET入力オペアンプにしばしば見られる位相反転や過負荷の問題がありません。 ±2.5V〜±18Vの電源で動作し、入力カスコード回路により優れた同相モード除去を実現しているうえ、 広い入力電圧範囲にわたり低入力バイアス電流を維持して歪を最小限に抑えます。OPA2134PAは、 ユニティ・ゲインで安定で、高負荷キャパシタンスなどの各種負荷条件で優れたダイナミック特性を示します。 デュアルおよびクワッド・タイプは、完全に独立した回路によりクロストークを最小限に抑え、 オーバドライブまたは過負荷の場合にも相互作用がありません。 (入力バイアス電流5pA)


目かくしオペアンプ目かくしオペアンプ。ブラインドテストは楽しい。

 評価用のヘッドホンアンプは、18V(006Pアルカリ乾電池2本を使い、抵抗で+-9Vに分圧)の、酒井智巳氏『はじめてつくるヘッドフォンアンプ』を、ブレッドボードで組んだものを用意した。ダイヤモンドバッファ部のトランジスタは、非音響用の標準品ともいえる2SC1815 GR/2SA1015 GRのペアを選択し、なるべく特色がでないようにした。同様の理由で、電解コンデンサは東信工業UTWRZの1000μFにした。UTWRZは、非オーディオ用の高周波平滑用標準品と位置付けられているコンデンサだが、最初に書いたコンデンサ聴き比べで初めて聴いてみたところ、音が自然で、でしゃばらず、聴き疲れのしない、好感のもてるコンデンサだったからだ。

ブレッドボード・ヘッドフォンアンプでオペアンプ聞き比べ手前の小さなブレッドボードが今回試聴用に作成した酒井智巳氏『はじめてつくるヘッドフォンアンプ』のブレッドボード版。その向こう、006P9V乾電池の先のアルミケースは以前製作したヘッドフォンアンプの基板部を取り除いた抜け殻。ここには電源スイッチ、ヘッドフォンジャック、RCAジャック、2連ボリューム、それにカップリング用のコンデンサ(Jantzen Audio社フィルムコンデンサ0.22μF。海神無線で購入)が付いている。この一式があると、ヘッドフォンアンプは基板部を作るだけで済むため、とても楽になります。

 写真のとおり、金属ケースに収まっておらずむき出しで、アースも取れていないし、リード線もずいぶん大振りで、ノイズ対策がまったくとられていない装置での実験となる。また、そもそも酒井式ヘッドフォンアンプの回路は、入力抵抗が100kΩとなっており、OPA2604や2134など、入力バイアス電流が非常に低いFET入力のオペアンプを使うことを前提としたものと思われ、バイポーラ型OPアンプは不利になる。厳密さを欠くテストであるが、しかし、同じ条件の下で試聴比較することにより、何かしら、それぞれのオペアンプの性格傾向がつかめるのではないかと思ったわけである。なお、上述のカップリングコンデンサと入力抵抗によるカットオフ周波数については、コンデンサが0.22μF、入力抵抗が100kΩなので、1/(2πCR)=1/(2*3.14*0.00000022F*100000Ω)=7.23Hzと計算上なる。

ブレッドボード・ヘッドフォンアンプ配線図ヘッドフォンアンプのブレッドボード配線図。クリックすると拡大して見ることができます。

 テストは、僕と、それから奥さんに協力してもらい、オペアンプをシャッフルして2回行った。彼女はオペアンプの違いや聴き比べになんか興味がないので、僕のように変にウェブ上で得た生半可な先入観や、評価する際に口をついて出る独特の決まり文句から遠く離れているはずだ。

 結果は、以下のとおり。6つ全部試聴した後、ベスト1と2をそれぞれ選んだ。

・レファレンスCD:『Hejira』 ジョニ・ミッチェル (試聴1回目:1. Coyote、2回目:3. Furry Sings The Blues)
・ヘッドフォン:オーディオテクニカ ATH-A5X(30Ω)


 ふたり共に好評価をしているものもあったり、真逆の評価を下しているものもあったり。聞き比べるたびに、評価が揺れ、変化していくのがわかる。テストする順番によってもオペアンプの評価が左右される(1番目のオペアンプと6番目では評価を下すこちら人間側の「気分」が異なってしまう)。評価をフィックスさせることはとても難しいし、そもそも無理な話なのかもしれない。まさにそこ、今回の実験で唯一確認できたことは、たとえブラインドテストであっても、公平な評価を下すことはとてもできない、ということかもしれない。ウェブ上にちりばめられた他人のレビューをチェックするのもいいけれど、やはりまずは、各人がそれぞれ自分の耳で聞き比べのテストを行い、そのマシンにおける限定的な良し悪し(もしくはむしろ好き嫌い)を、「とりあえず」という留保付きで書き留めてみるぐらいがちょうどいいんだと感じた。

関連リンク
  • 『はじめてつくるヘッドフォンアンプ』(酒井智巳・著、技術評論社・刊、ISBN:9784774124742)
    正誤表は、「corrigenda」をクリックした先。


  • 聴き比べ(2011年10月)

     今日は雨。小学生の子どもとも一緒に目かくし聴き比べあそびをやってみる。試聴用CDは子どもが選んだ、R.シュトラウス「交響詩<ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら>」。あとで、僕一人だけで追試的にストラヴィンスキー「ペトルーシュカからの三楽章」と「ピアノと管弦楽のためのカプリッチョ」を、オペアンプをシャッフルしたのち行った。もちろんブラインドで。オペアンプは、以下の5つ。










    The LME49720 is part of the ultra-low distortion, low noise, high slew rate operational amplifier series optimized and fully specified for high performance, high fidelity applications. Combining advanced leading-edge process technology with state-of-the-art circuit design, the LME49720 audio operational amplifiers deliver superior audio signal amplification for outstanding audio performance. The LME49720 combines extremely low voltage noise density (2.7nV/√Hz) with vanishingly low THD+N (0.00003%) to easily satisfy the most demanding audio applications. To ensure that the most challenging loads are driven without compromise, the LME49720 has a high slew rate of ±20V/μs and an output current capability of ±26mA. Further, dynamic range is maximized by an output stage that drives 2kΩ loads to within 1V of either power supply voltage and to within 1.4V when driving 600Ω loads.(入力バイアス電流10nA)


    The OP275 is the first amplifier to feature the Butler Amplifier front-end. This new front-end design combines both bipolar and JFET transistors to attain amplifiers with the accuracy and low noise performance of bipolar transistors, and the speed and sound quality of JFETs. Total Harmonic Distortion plus Noise equals that of previous audio amplifiers, but at much lower supply currents.(入力バイアス電流100nA)


     今回のテストも、上記順番通りには試聴していない。レファレンスはクラシック音楽。

      結果を見ると、OPA2604に限っては、前回のテストも含めてわりと一貫していて、きっとこの装置に合っているのだろうし、また僕が好きな音を出すんだと思う。一方、息子の評価を見ると、すべてに○印を付けている。つまりおおざっぱに言えばたぶん、どのオペアンプを選んでも、ほんとのところは「普通の聴き方をする限り、まあたいてい大丈夫だ」、ということかもしれない。






    聴き比べ:OPアンプ評価用ヘッドホンアンプの製作(2013年9月)

     久しぶりに、このページを開いて読んでみました。なんとも馬鹿馬鹿しいことに熱中していたなあと赤面するほかありません。ただ、見方を変えてみれば、このようないかにも愚かしいことに囚われたことによって逆に、OPアンプ回路についてあれこれ考えてみる経験を積むことにもなったと、肯定的に捉えることもできるかもしれません。ともかく、今の自分だったら、(ヘッドホンアンプにおける)オペアンプの音質比較をしたいという欲求にどう取り組むかをあらためて考えてみますと、やはり、オペアンプ評価用の装置自体を見直すところから始めるだろうと思います。というわけで、実際すこし回路を考えてみたのです。

    オペアンプ音質評価用ヘッドホンアンプ  いわゆるChuMoyアンプ(CMoyアンプ)と呼ばれるヘッドホンアンプ回路を下敷きにして、定数などを一部見直し、さらにロータリースイッチを使って複数のOPアンプを切替えられる装置にしてみました。右の写真を見ますと、右側に6つのオペアンプが見えます。すべてデュアル(2回路入り)のOPアンプですが、これら6つのOPアンプをロータリースイッチで自由に切り替えて試聴できるようにするのです。



     「ChuMoyアンプ」について簡単に説明しますと、もともと「HeadWize」というヘッドホン全般に関するフォーラムサイトがアメリカにあって、そのDIYコーナーにChu Moyと名乗る方が投稿したポータブルヘッドホンアンプのことです。「OPアンプの使い方としてはダメな(OPアンプの利点を踏みにじる乱暴な)回路だが、とても少ない部品数で簡単に作ることができしかもいい音が出た」と多くの自作愛好家たちの間で話題になりそれが遠い日本まで伝わったということになっているようです。でも、オペアンプを使ったヘッドホンアンプの回路としてまず最初にこの回路を知った僕のような存在にしてみたら、記事が投稿された当時の、ChuMoy回路のもつ歴史的衝撃には、いまひとつピンとこないのですが。

    【オペアンプ音質比較用ヘッドホンアンプ回路図】


     入力部(オペアンプの手前部分)の、DC成分除去用ACカップリングコンデンサと、連動してローカットフィルタを構成する抵抗を組み込みました。定数はC1, C2を4.7μF、R1, R2を33kΩとして、低域遮断周波数を約1Hzに設定しました。ChuMoy回路では100kΩだったR1, R2の抵抗値を、今回の回路では33kΩに抑えたことで、FET型OPアンプだけでなくバイポーラ型OPアンプも搭載可能になっています。非反転増幅回路の定数については、GNDにつながる基準抵抗R3, R4を2kΩ、負帰還抵抗R5, R6を10kΩとして増幅率を6倍に設定しました。出力部(オペアンプの次)には、OPアンプ発振防止用フィルタ(いわゆるZobelフィルタ)を取り付け、その定数はC3, C4を0.01μF、R7, R8を20Ωとして、高域遮断周波数を約1MHzに設定しました。様々なOPアンプに対応するため、発振を抑制する回路はあったほうがいいと思います。

     電源回路については、006P9V電池2本直列の18Vを2本の抵抗R9, R10(CMoy回路に倣って4.7kΩ)で分圧し±9Vをオペアンプに供給することにして、分圧後のデカップリングは電解コンデンサ8,200μF(C5, C6)とフィルムコンデンサ2.2μF(C7, C8)の並列配置としました。オペアンプについては、CMoy回路ではシングル・オペアンプですが、今回僕が音質比較したいオペアンプに合わせてデュアル・オペアンプ=2回路入りのものに変えています。オペアンプの±電源ピン(V+は第8ピン、V−は第4ピン)の直近には、電源ピンとGNDをつなぐ0.1μFのバイパスコンデンサ(パスコン)を取り付けます。さらに、フェライトビーズもノイズ除去目的で±電源ピン直近に取り付けました。ボリュームは2連50kΩAカーブ型にしました。回路図には書きませんでしたが、電源スイッチと、あとLEDも取り付けました。電源スイッチをOFFにすると、電解コンデンサに蓄えられていた電気が放電されLEDによって消費されます。LED用の抵抗は10kΩ。

     今回の回路の”キモ”は、複数個のオペアンプを簡単に切り替えて試聴できるよう、回路図のオペアンプの箇所を、複数個のオペアンプを並列配置して、+と−の電源ピン(8ピン・4ピン)を2回路ロータリースイッチで制御できるようにした点です。電源ピン以外のピン(1〜3、5〜7ピン)はスイッチ切替えせず、常に繋いだ形にしています。ロータリースイッチはノンショート型(ブレーク・ビフォア・メーク型)を選びます。ノンショートとは、説明がすこし難しいのですが、例えばロータリースイッチをひねって1つ目から2つ目のオペアンプに切り替えるちょうど中間地点で、接点が一度完全に途切れるタイプのことを言います。ちなみに、1つ目と2つ目の回路が切り替わる途中で一度つながるタイプのものはショート型(メーク・ビフォア・ブレーク型)と呼ばれています。今回は、2回路6接点ノンショート・ロータリースイッチを使って6種類のデュアル・オペアンプを切り替えられるようにしました。

     以上、評価用回路についてざっと説明してみました。OPアンプを使った非反転増幅ヘッドホンアンプ回路についての総合的な解説や定数の決め方については、別のページ「ヘッドホンアンプの自作:オペアンプ直列(非反転増幅回路、ボルテージ・フォロワ、DCサーボ)」で備忘録的にまとめてあります。興味のある方は、ページ本文はともかく、そこに「参考」としてリンクを貼っている本や雑誌、ウェブページを参照されるとよいと思います。


    【基板配線図(表面=部品実装面)】


     LED、抵抗、OPアンプはピンソケット式にしました。図では中が黄色い四角の箇所です。LED用の抵抗だけ立たせた形にして、残りは全て寝かした形で取り付けます。図で中がピンク色の四角の箇所はピンヘッダーを使っています。ハンダ面の配線は基本はスズメッキ線です。

     回路のキモがロータリースイッチなら、ハンダ付け作業のキモは、オペアンプまわりの被覆線の配線でしょう。ふつうの回路ならオペアンプは1個だけなので、配線も1本で済むところを、今回はオペアンプを6個も載せるものだから6本に分岐させて配線しなければなりません。しかもそういう箇所が6ヵ所もあるのです。具体的には、オペアンプの+入力ピン(3ピン、5ピン)、−入力ピン(2ピン、6ピン)、出力ピン(1ピン、7ピン)の6ヵ所で、つまり6分岐配線×6ヵ所=計36本のハンダ付け配線作業を狭い場所で行わなくてはなりません。

     この部分の配線材(被覆線)として今回は、細い「UEW」を使いました。とても細いので、ピンセットで少し力を入れてつまんだだけでプツンと切れてしまうほどです。UEWは、ポリウレタンエナメルワイヤーの略で、エナメル線に似たコーティング銅線です。おもしろいことに、このコーティング剤はハンダ付けのときの加熱によって溶けます。そうやって被覆を剥がしたと同じことになる仕掛けです。しっかり溶けて導通しているか必ずテスターで確かめながらはんだ付けします。

     抵抗器は標準品の、誤差±1%、金属皮膜抵抗など精度・特性ともによいもののなかから選びます。僕の試作機では1/2Wのものにしましたが、上の写真に写っているように横幅が少しばかり大きすぎて、R1〜R4はお互いに干渉し合ってしまいました。素直に1/4Wでよいと思います。

     コンデンサはすべて立てて直付けします。フィルムコンデンサ(4.7μF、0.01μF、2.2μF)は秋月電子で売られている地味で安価なルビコン製電源用途のメタライズド・ポリプロピレン系フィルムコンデンサのラインナップのなかから選びました。とにかく、抵抗、コンデンサいずれも精度には配慮しますが非オーディオ用にします。電源部の電解コンデンサの容量は8,200μFとはちょっと大げさですが、ちょうどこれも秋月電子に日本ケミコン製のLXJ(生産終了品の低インピーダンス、高周波平滑電源用電解アルミコンデンサ、耐圧16V)が1本50円で2013年現在売られているのでそれを用いました。この箇所の電解コンデンサは容量精度は問いません。ちなみにChu Moy氏本人は「I used 220uF caps, but would gladly have replaced with 330uF or higher caps if my enclosure had been bigger. (僕はケースが小さいので220μFにしたけど、サイズが許すなら330μFかそれ以上の容量のものにしたかったな)」と記しています。

     2回路6接点ロータリースイッチを配線図の右上に書きましたが、ハンダ付けする前に必ずテスターで繋がり方を確認してから配線してください。僕は秋月電子で売られていた安価なロータリースイッチを使いましたが、よく確かめずにハンダ付けしてケースに取り付けてから、なんと12クリック分ぐるぐる回るシロモノであることに気づいたのでした(ムムっ、不良品だ! といきり立ちましたが、ウェブ上の商品説明をあらためて読むと「ストッパーの位置変更で、2〜12接点(2〜6接点)に変更可能」とさりげなく記してあります。ん? もしやと思い取り外したロータリースイッチをよく観察してみると、軸に「ナット>菊座金>爪付き座金」が付いていますがこの爪付き座金の爪部分がストッパーの役割をしていて、切替え数を変更できる仕掛けが施されているのでした)。なお、秋月の2回路6接点でなくても、2回路ノンショート型なら接点数はいくつでもかまいませんので、例えば千石電商で扱いがあるアルプス製の2回路5接点ノンショート型ロータリースイッチ「SRRN151800」などでもOKです。5接点なら取り付けられるオペアンプの数は5個となります。(SRRN151800の端子構成図

     GNDラインのアースについては、もし金属ケースを使う場合は、入力ジャックのGNDピンからリード線を伸ばしてケースにネジで留めるやり方で1点アースにします。ノイズ対策として、金属ケースが望ましいです。フタが簡単に開き、OPアンプや電池の交換ができるようなケース、お菓子の箱とか、を選ぶとよいと思います。僕はプラスチックケースでおうちゃくしたのでケース接地はありませんでした。


    【基板配線図(裏面=ハンダ面)】


     上の配線図は、その上の図面を左右反転スキャンしたものです。これをカラー印刷すると基板裏面(ハンダ面)の配線図として使えます。なお、バイパスコンデンサはハンダ面のほうに取り付けてスペースを節約します。できるだけ小さなフィルムコンデンサを使いたかったので、千石電商で売られていた高特性なパナソニック製のチップ型フィルムコンデンサ(面実装チップ形の積層PPS=ポリフェニレン・サルファイド・フィルムコンデンサ「ECHU」)を使ってみました。チップ型だとリード線がないのでノイズに強いと思われますが、じゅうぶん小さいサイズなら通常タイプのコンデンサ(できればフィルムコンデンサ)でよいと思います。

    【部品表】
    東京秋葉原の秋月電子、マルツパーツ、千石電商で揃え約2,000円でした。

    抵抗器
    (R1〜R10は 1/4W誤差±1%の金属皮膜抵抗、LED用抵抗は安価なカーボン抵抗で。)
    コンデンサ
    (C1〜C4、C7〜C8とバイパスコンデンサは フィルムコンデンサを、C5〜C6は電解アルミコンデンサ、耐圧はすべて16V以上で。フィルタ回路を構成するC1, C2の4.7μF、C3, C4の0.01μFの値を、入手困難等で別の値に変更したい場合は、上に述べた別ページ「ヘッドホンアンプの自作:オペアンプ直列(非反転増幅回路、ボルテージ・フォロワ、DCサーボ)」を参考にして代替数値をお決めください。)
    その他
    【試聴】
     まず、音質評価用OPアンプを6個用意し、上述の「目かくし」を施しておきます。電源スイッチがOFFになっていること、音量ボリュームがいっぱいに絞られた状態であることを確認してから、目かくしOPアンプ6個をICソケットに挿します。ロータリースイッチの位置はどこでもかまいません。音源の音楽プレーヤーを入力ジャックに挿し、プレーヤーの電源を入れ、ヘッドホンを出力ジャックに挿します。その後で、ヘッドホンアンプの電源スイッチをONにします。電源を先に投入した後にヘッドホンを接続するとポップノイズが走るので注意してください。今回の回路には出力先短絡保護抵抗がないので、ヘッドホンのプラグはアンプの出力ジャックにしっかりと装着します。中途半端に挿すと、アンプ出力が短絡=ショートしてOPアンプにダメージを与えてしまう恐れがあるからです。もしも、保険として短絡保護抵抗を回路に追加したい場合は、LとRの各出力先と出力イヤホンジャックの間に抵抗を噛ましてください。上の基板配線図で説明するならば、「OUT/出力」のLチャンネルとRチャンネルのピンソケットの手前に抵抗を入れます。Lチャンネル側で言えば、出力ピンソケットのある縦15番/横36番の隣の縦16番/横36番と、その隣の縦17番/横36番のあいだの導通しているスズメッキ線を切り取ってから、その2か所(つまり縦16番/横36番と縦17番/横36番)にもピンソケットを取り付け、そこに保護抵抗を立てて挿入します。ピンソケット式にするのは、抵抗の値を変更できるようにするためです。抵抗の値は5Ω〜30Ωぐらいがよいと思います。信号経路に直列に抵抗を噛ますため、あまり大きな抵抗値にすると出力電圧がその分下がり音が貧弱になってしまうので、どの値なら問題ないかを実際に抵抗値を変えながらテストしてみて決めるといいと思います。

     ロータリースイッチを回してオペアンプを切り替える方法については、まず音量をいちばん絞り、電源スイッチを切り、LEDランプの明かりが消えるのを待ってから、ロータリースイッチを回して切り替えます。ロータリースイッチはOPアンプの+と−の電源入力ピンを制御していますが、電源を切らずにロータリースイッチを回したり、LEDの明かりが消えるのを待たずしてノンショーティング型ロータリースイッチを回すと、ノイズが走ってしまうので十分注意します。僕の試作機は電源部の電解コンデンサの容量が8,200uFと大きいので、LEDの明かりの消え方はとてもゆっくりで約15秒かかりました。その間に評価ノートを付けたりして鷹揚に待ちます。


    [続く…]
    (この章はまだ書きかけです。2013年9月20日)





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